柔道整復師として仕事をする上で、知っておかないといけないのが法律関係のことです。
中でも柔道整復師法は、内容をよく読み、理解しておく必要があります。
もし知らずに規定を破ってしまった場合、知らないでは済まされず、処罰の対象になることもめずらしくありません。
今回は、柔道整復師法について詳しく解説していきたいと思います。
柔道整復師法とは?
柔道整復師の目的や定義、免許関係のこと、治療行為についてなどを定めているのが「柔道整復師法」です。
柔道整復師法が施行されたのは、1970年のこと。
柔道整復師の業務が正しく遂行されるようにと作られた法律です。
全ての柔道整復師は、この法律を正しく理解した上で遵守し、業務を行うことが義務付けられています。
柔道整復師法17条について
柔道整復師は医療系の国家資格ですが、施術や医療行為の範囲に関しての規定があります。柔道整復師法第16~17条に、柔道整復師の業務範囲について書かれているので、しっかりと確認しましょう。
特に注意したいのが、柔整復師法17条です。
17条には、「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。」と書かれています。
この場合の医師は、整形外科や形成外科以外の医師でも問題ありません(但し、歯科医を除く)。また、医師の同意取得については、形式(口頭や書面)を問いません。
柔道整復師法の禁止事項は?
柔道整復師法の禁止事項にはどんなものがあるのか、ご紹介します。
まず、応急処置の際、柔道整復師が自己判断で患部のレントゲン撮影をすることは、診療放射線技師法第24条3項違反になり禁止されています。
過去、柔道整復師がレントゲン撮影をしたとして裁判になり、最高裁判所で違法であるという判決が出ていますので注意しましょう。
また、医師の同意なしに、脱臼や骨折の施術をすることも禁止されています。
ただし、前述したように、応急処置の場合はこの限りではありません。
まずは医師の診断を仰ぐのが必要であるということは、しっかり認識しておきましょう。
そして、応急処置で整復する場合も、柔道整体師の業務範囲内で患部修復に尽力しなければならないという点も理解しておく必要があります。
柔道整復師には、守秘義務も課せられています。
守秘義務とは、顧客の個人情報や、業務上で知りえた秘密を第三者に漏らさないこと、許可なく個人情報を開示しないことをいいます。
柔道整復師の仕事を離れたり、柔道整復師免許が取り消されたとしても、守秘義務は有効です。情報には常に注意を払い、誠実に取り扱うことを意識しましょう。
柔道整復師法と広告の制限について
柔道整復師法と広告の制限についても、知っておく必要があります。
広告とは、集客のために使用する看板やチラシなどのこと。
実際に広告を作成する際、柔道整復師法に抵触する表示や表現を使っていないかどうか、よく確認するようにしましょう。
「肩こり専門治療院」や「交通事故治療専門」などの表記は、行き過ぎた表示とみなされます。
また、広告の制限の法律に掲げる事項以外の広告への記載は、一切認められません。
「柔道整復師法」によって定められる、掲載可能な内容は以下になります。
・柔道整復師の有資格者が開業者であること
・柔道整復師の資格を持っている人の氏名・
・開業場所や連絡先
・営業日・営業時間など
・出張施術が可能であること
・受付方法や駐車場の有無
これ以外を記載すると、法律違反になりますのでくれぐれも注意しましょう。
知らずにうっかり掲載しても、違反したことに変わりはありません。
そうはいっても、メニューや得意分野など、お客様にお知らせしたい情報はたくさんありますよね。
その場合は、ホームページを開設し、情報を掲載するといいでしょう。
ホームページは「広告」には当たらないとされていますので、表現や表示の自由度はかなり高いと考えてよいでしょう。
だからといって、嘘の情報や、誇張した情報を掲載していいわけではありません。
ホームページに掲載されている情報は、お客様や取引先にそれが真実だと認識させます。
お客様の信頼を失うような情報の掲載はしないようにしましょう。
また、「治療ができる」と誤認識される可能性がある表記や表現を使用すると、他の法律に抵触する可能性が高くなります。その点も十分に注意を払ってくださいね。
また、料金は、正確にわかりやすく掲載しましょう。
いずれも、正しい情報だけを公開するようにしてください。
柔道整復師の管轄は?
国家資格である柔道整復師の管轄は、どこでしょうか。
柔道整復師は、医療系の国家資格であるため、厚生労働省の管轄です。
免許や柔道整復師の規定、国家資格に関しては、主に厚生労働省が行います。
柔道整復師法に違反するとどうなる?
たくさんの規定がある柔道整復師法。
柔道整復師法に違反するとどうなるのでしょうか。
柔道整復師法には、罰則規定があります。
違反した場合、1年以下の懲役、または、50万円以下の罰金を科されることがあります。
広告規制に違反すると、30万円以下の罰金が科されることも。
万が一、指導を受けた場合は、誠心誠意、改善に取り組むようにしましょう。
なお、広告の指導は管轄の保健所が行います。
柔道整復師法を理解し正しく運営しよう
様々な規定がある柔道整復師法。内容を理解し、正しく運営しましょう。
特に広告に関しては、しっかりとした規制があります。
違反すると「知らなかった」では済まされず、処罰の対象になる場合も。
正しく運営するためのポイントを、しっかり理解しましょう。
ホームページは誇張した表現にせず集客に活用しよう
他院との差別化をはかり、規制をあまり気にすることなく、個性を自由に表現できるのがホームページです。
ホームページを開設する場合、誇張した表現にせず、集客に活用するようにしましょう。
ホームページは自由度が高いからこそ、モラルやルールを意識することが大切です。
お客様に信頼してもらえる内容のホームページになるよう、工夫してくださいね。
表現や使用する文言に不安がある場合は、ホームページ作成業者や、専門家に相談するようにしましょう。
まとめ:柔道整復師法とは?知らないで済まされない法律関係
柔道整復師が必ず知らなければならない柔道整復師法と、法律関係についてご紹介しました。
柔道整復師法には、柔道整復師の業務や広告宣伝についての規定が記載されています。
重要なのが、柔道整復師の業務範囲に関する事項を記載した柔道整復師法17条です。
正しく内容を理解し、施術するようにしましょう。
罰則規定のある柔道整復師法は、違反すると処罰の対象になることも。
特に、広告には厳しい規定がありますので、注意が必要です。
看板やチラシに掲載する内容や表現には、十分に配慮するようにしましょう。
自由な表現で集客に関する情報を掲載できるホームページは、広告には分類されません。
自由度が高い分、モラルやルールを守り、正しい情報を掲載して、お客様の信頼を得るホームページにすることが大切です。
柔道整復師法を正しく理解し、多くのお客様から信頼され続ける柔道整復師になってくださいね。